。
「125万……」
確かめるように呟く。
「でっけぇな」
葉くんが100人居ても敵わない。
そう言った、友人の言葉が蘇る。
「オイラを取り返して、何になるってんだろ……」
ハオは葉を仲間にしようとしているように見えた。
葉の巫力は1万ちょっと。ハオにしてみれば、ちっぽけな力に違いない。
そんなもの、今更どうしようというのか。そう思っていた。
今までは。
『守りたいお方が──────』
だけど気付き始めている。
知らなければ楽なこと。
気付かなければ、苦しまずに済むのに。
「麻倉の敵……か」
ハオは葉を仲間にしたいわけではなかった。
取り戻す。そう自ら宣言した15年前。
──待っておいで。大切な僕の半身よ……。
「オイラに、何が出来るんよ……」
こんなちっぽけな力で。
見れば見るほどに、姿は瓜二つ。
けれど半身なら、力が欲しかった。
誰かを守る力。
すべてを守り抜ける、大きな力。
それを、彼は持っている。
そして深く堕ちた。
誰かを守りたい、と。
すべてを守りたい、とそう願うほど。
祈るほど深く、飲まれて。
『地獄ならもう、見飽きた』
(次はどうする気なのだろう)。
(一体何をする気なのだろう)。
そうやって、目の前の力の大きさに、ただ怯えてた。
彼はただ、守りたかっただけなのに。
大切なものすべて。
その力で。
守り通したかった、だけ。
それだけなのに。
「なぁ、ハオ……」
届くはずの無い、声。
けれど問わずにはいられなくて。
恐るべき力、なんて。
果たして本当にあったのだろうか。
知らなければ楽だった。
気付かなければ、苦しまずに済んだ。
そう、二人とも。
「オイラに、何が出来る……?」
ぎりぎりの問いは、風にさらわれて消えた。