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ア マ ミ ツ ホ シ 。

 

 生まれては消えていく星々。
 漆黒の霄に煌めく幾千の光。己を燃え上がらせ、あるいは他者の火を喰らい、闇に幻想を創り出す。
 微かに木の葉がざわめいた。風は止んでいる。
 きっと、森へ帰りそびれた哀れな小鳥だろう。
 視界を闇に阻まれて、輝く星さえ見つけられずに、ひとりぼっちで震えている。
 ちっぽけで無力な悲しい生き物……。

「――どうした?」

 暗闇に向かって問いかける。振り向かずとも、その巫力で、誰の訪れか判るのだ。

「マリオン・ファウナ」

 名前を呼ばれて、マリは少し身を硬くした。驚いたわけではなかったが、その声の威圧には、いつまでたっても慣れない。

「……ハオ様こそ……こんなところで何を?」
「別に」

 はは、と脈絡無く笑って、ハオは答えた。
 彼が笑うのを見るたびに、マリは思う。ハオの笑顔を見たことはない、と。

「星をね」
「……星?」
「ああ」

 そう言って空を仰ぐ。
 満天の、とは言い難い星空。それでも彼らは必死に輝き、まるで何か大切な事を、こちらに伝えようとしているかに見えた。

「自然は僕を裏切りはしない」

 切ない言葉。
 マリの胸で、何かが疼いた。
 目の前の、どこか自分と同じ匂いのする、この人。

「……ハオ様、ハオ様はどうして、マリなんかを……」
「ん?」
「人間は……醜く、汚いのに」

 醜く弱き人間。
 思い込み、裏切り、寄ってたかって傷付ける。
 表面ばかり取り繕って、腹の中には悪意が渦巻いている。
 気味の悪い、汚い動物。

「君はシャーマンだ。人間とシャーマンは、違うよ」

 憎み、憎まれすぎて、もう判らなくなってしまった。
 もう笑えない。
 泣くことも出来ない。

「……嘘」
「………………」
「ハオ様は……ハオ様は……最初から誰も信じていない……そう、誰の事も……!」
「何故、泣く?マリオン・ファウナよ」

 もう、泣くことも出来なくなってしまった人。

「……ハオ様」

 信じる、なんて、残酷な事だ。
 マリは判っていた。全ては狂いだしてしまったこと。
 もう、戻れはしない。

「シャーマンだって、人間、です」
「……そうだったかもしれないね」

 自分も、この優し過ぎた一人の男も。

「忘れてしまったよ」

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