「おおっ、すげー!灰原、見ろよアレ!」 「………………」 「灰原?」 「え?」 「どこ見てんだよ」 「あ……別に……」 「ホラ、アレ見ろって!」 「何?」 「下のゴンドラのカップル、生チュー。」 「………………」 「あっ、うわっ、すっげ……痛っ!!」 「バカな真似してんじゃないわよ」 「あんだよ灰原、イキナリ殴る事ねーじゃねーか!あっ、ひょっとして羨ましい?」 「はぁ?」 「何だよもー、それならそうと言ってくれりゃあいいのに」 「……あなたにはデリカシーってものは無いの?」 「悪かったな、んなもん持ち合わせてねーよ」 「ったく……」 「ま、そーゆうフリしてるだけかもしんねーけど?」 「え?」 「あっ、ホラ灰原、こっち側!」 「今度は何よ?」 「すっげー見晴らし!今日は空気が澄んでんだなぁ」 「………………」 「ん?」 「ホント、あなたと居ると気が緩むわね」 「どーいう意味だよそれ?」 「別に?あなたは中身まで本当の子供みたいだってこと」 「うるせー、オレは演技派なんだよ!いいか、探偵ってのはなぁ……あ、頂点だ!ここ、観覧車の頂点だぞ灰原!」 「……あたしはあなたと一緒がいいってことよ」 「あ?今何か言ったか?」 「いいえ、なんにも」 |