第3の被験者

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    ―シェリー、大丈夫か?顔色悪いぞ?―

あれ?この人―――だれ?
   確かに聞いたことのある声だけど……
       名前を覚えていない……

       ―…ん、哀…ん、哀君!―
「大丈夫か?少しうなされておった様じゃが……?」

……どうやら眠ってたようね…。それにしても……
   あの声の主は一体誰?
    まるで兄みたいな口調だったわね…
「哀くん?」

少し物思いに耽っていると、博士が灰原の顔をのぞいてきた。

「ええ…大丈夫。ただ悪夢を見てただけだから…」

灰原はとっさに嘘をついた。

―悪夢なんて見ていない―

「そうなのか?なら良いんじゃが…」

博士は少し首をかしげながら、納得した。

―ピーンポーン…ピーンポーン…―

「灰原さ〜ん!」

突然阿笠邸に響くインターフォンを鳴らしたのは、歩美のようだ。
灰原は準備をして玄関に向かう。

「はいはい…、今行くわ」
「おはようございます、灰原さん!」
「オッス!」
「よお、灰原」

声は聞こえなかったのだが、どうやら光彦と元太とコナンも来ていたようだ。ドアを開けるとあの能天気な4人の顔が視界にはいる。

「おはよう…」

灰原はとりあえず挨拶をして、一緒に登校することになった。

……………………

「ねえねえ、そう言えばさ!今日私達のクラスに、また転校生が来るみたいだよ!」

突然歩美が大声をあげる。すると、

「ええ〜?ほんとですか!?」
「転校生なんて灰原以来だよな!」

と、元太と光彦も大声を上げる。
それから暫く、転校生の話で持ちきりになった。

「ねえ、コナン君と灰原さんはどう思う?」

と、突然歩美がコナンと灰原に転校生がどう言う子かと言う質問をしてきた。

「さあ?まあ、おれは…サッカーが得意な奴ならどんな奴でも良いな…」

コナンは半分ジト目で答える。

「私は………、どんな子が来ても別に良いわ…」

灰原も少しふざけ半分で答える。
そんな話をしている間に、帝丹小学校に着いた。

「……な感じだと良いなーv」
「おれは………なら親友になれそうだぜ!」

クラスでも、転校生の話で持ちきりだ。

―シェリー……だな?今日からよろしくな。
           俺は…………だ…―

―――え?今なんて言ったの?もう一回言って―――

「あ!来た――!」

「がらっ」という音と同時に、廊下から小林先生と一人の男子が入ってきた。

「あれ?あの子……誰かに似てません?」
「そうかー?確かに違和感はあるけど…俺にはわかんねーな」

「………あ――――!!!」

突然コナンの右側に座っている、歩美が大声をあげた。

「誰かに似てるって思ったら、”コナン君”に似てるんだよ!」

こう言われて、はじめて気がつく。
眼鏡こそ掛けてはいないが、確かに顔つき、髪型はコナンなのだ。

「はいはい、少し静かにしてください。今日からみんなの一緒に勉強することになった、哀羽優君よ」
「よろしくv」

姿形が似ているため、哀羽の笑顔はコナンの笑顔に等しかった。
コナンが少し左を向くと、灰原が「くすくす」と笑っている。

「んだよ。俺はあんな笑い方しね―ぞ」

誰にも聞こえないくらい小さな声で、コナンは呟いた。

「えーと…哀羽君の席は………
   …………………吉田さんの隣ね。
              吉田さん、手を上げてください」

「はい!」

歩美は少し顔を朱に染め、恥かしそうに(勢いよく)手を上げると、哀羽がその席の隣に行く。

「よろしく。吉田さんv」
「よ、よろしく。あと、歩美で良いよ」
「そう?じゃあ…よろしく、歩美ちゃんv」

そんなこんなで今日も一日が終わった。
低学年が帰るチャイムが鳴ると、次々に教室から生徒が出ていく。
大抵、知り合い同士で帰るため、転校生を探すのは簡単だった。

「あーいーばーくん!」
「へ?」
「一緒に帰りましょう!」

突然歩美と見知らぬ少年に呼びかけられたので、とりあえず止まる。

「えーと……君は?」
「あ、まだ自己紹介してませんでしたね。
僕は円谷光彦。そこにいるのが元太くんで、眼鏡をかけているのがコナン君。少し茶髪ぎみな髪の毛の子が、灰原さんです」

「よろしくv」

あいかわらずのコナン顔での笑顔。
歩美は少し笑うが、元太は少し膨れている。
光彦も膨れていると思ったが、いつにない灰原の
笑顔を見て、そんな気持ちなど吹っ飛んでいるようだ。

「あ、そうだ!哀羽君も少年探偵団に入らない?」
「……し、少年探偵団!?」
「(はは…そりゃ驚くわな…)」

驚き戸惑っている哀羽をよそに、歩美はずんずんと少年探偵団のことを話していく。

「…なんだけど、入ってくれる?」
「え?ああ、いいよ」

哀羽は少し顔を引きつらせて笑った。

「でも、今日は依頼書来てないみたいですね…」

「(ハハハ…いつも来てねぇじゃねぇかよ…)」

コナンはそう思った後、

「…じゃあ、公園でサッカーでもしようぜ」

と提案した。
コナンのこの一言に、少年探偵団は全員賛成。
いったん家に帰って、米花公園に集合するようにした。

「じゃーね、コナン君、灰原さん、哀羽君!」
「じゃあ、今度は公園で!」
「またなー!」

歩美と光彦と元太はそう言って、コナン達と分かれた。

「「「………………」」」

歩美達がいなくなると、3人は沈黙する。
その沈黙を破ったのは、哀羽だった。

「APTX……4869」

哀羽は突然、コナンと灰原が飲んだ毒薬名を述べた。

「細胞の自己破壊プログラムの偶発的な作用で、神経組織を除いた骨格・筋肉・内臓・体毛…それら全ての細胞がアポトーシスにより壊死し、幼児期のころまで後退化する神秘的な薬だったよなぁ…シェリー?」

薬品名どころか、詳しいないようまでも述べていく。

「あ、哀羽…。お前……、まさか…!?」

「哀羽じゃねぇよ……………………………ブラッド……。それが俺のコードネームだ!」


*続く*




内容はほぼ、原作18巻と同じです。
…え?”ブラッド”と言う飲酒名なんてない?
ブラッドは、”ブラッディ・マリー”の、ブラッディ
の部分を使ったコードネームです。
たしかブラッディとブラッドって、血って言う意味だったと思います。
ブラッディなんてコードネームはいいずらそうだったので、
ブラッドにしてみました。
ちなみに、実際のアポトキシンはアポトーシスによって
体中の細胞全てが壊死し、死に至ります(例外有り)
これからもよろしくお願いします。

灰原藍

★感想は灰原藍様まで★

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