「…死神の仕事は……死んだ人々の魂を救うこと」
あの時――――、俺は灰原に対して何も出来なかった。
これが、今の俺にできる灰原に対して出来る、唯一の償いなのかもしれない。
終わらない鎮魂歌を歌おう
―――――――――――――――――
オ ワ ラ ナ イ ウ タ
ヲ ウタ オ ウ
「――――灰原、本当に大丈夫か?」
「ええ…全然……平気よ、これくらい」
灰原はその後、少し間をおいて言った。
「でも……工藤くんこそ大丈夫なわけ?私と一緒にいると…工藤くんこそ…」
「バーロ…他の奴がなんて言おうと関係ねぇだろ?お前は………お前なんだからな」
コナンはそれを聞いて、少し笑った。
「お前は、あいつら組織に無理矢理薬を作らされていたんだろ?だったらお前は犯罪者じゃねえ、被害者じゃねえか。お前は…お前なんだ」
「そ……そうよ…ね」
しかし、その後灰原は死んだ。
そして、博士の家で灰原の葬儀が行なわれた。
「なあ、灰原の奴、校舎で飛び降りだろ?」
「うわ!!灰原まじうぜぇ」
俺達…つまり、少年探偵団の後ろからは、ひそひそと灰原のことを言っている奴等がいた。
「ちょっと犯罪者扱いしただけで自殺かよ」
「だってさ、あいつ本物の犯罪者だろ?頭おかしかったんだって」
「死んでくれて良かったんじゃない?」
その言葉を聞いた瞬間、俺達はもう…自分達の怒りを抑制する事は出来なかった。
気づくと、元太と光彦…そして俺は後ろにいた男子3人を押し倒し、無我夢中で首を締めていた。
歩美は何も動かず、只泣いていた。
―灰原………俺は、お前に何をしてやれた?―
『ゴッ!!』
突然頭に響いた音と同時に、激痛が体を走りまわった。
「…死神になりたいっつーなら寝るな」
死神は少し間をおいていった。
「よし、ばっちり目が覚めた所で・・・・・・・試験の説明をする。………チャンスは一度だけだ。内容は至って簡単、実際に死神の仕事をしてもらう」
俺は戸惑った。
「…死神の仕事!?」
「そっ、そしてこれがお前が担当する奴な」
510号はそう言って一つのカルテを取り出した。
そこには、俺が卒業した中学校、帝丹中学校の制服を来た少女の写真が貼られていた。
「…今年、帝丹中学を卒業するんだが…、上に受験失敗した姉がいるんだ。そのせいか、親はこいつに多大なプレッシャーをかけたんだ…、つまり、そのプレッシャーが重すぎたわけだな。『受験を苦に自殺』、これがそいつの死因だ」
少女はゆっくりと確実に屋上の策に歩み寄っていた。
その光景を見て、俺は冷汗を流しながら言った。
「このまま……あの子が飛び降りるまで待つのか?」
510号は冷淡に言った。
「それが…仕事だからな。あいつが飛び降りたら試験開始だ」
「なぁ……、俺達はだまって見ていないといけないのか?」
「さっきも言っただろう?それが俺達死神の仕事なんだ」
俺は尚も食い下がった。
「止めてやる事さえ…できないのかよ?」
「んなことしたら、即OUT…つまり失格だぞ?…ま、人間には俺達死神の姿は見えないから…、んなこと100%できるわけねえんだけどな」
510号は冷たく、妖しげな笑みを見せていった。
だが、一瞬の静寂が包んだ瞬間、510号は突然こう言った。
「あ、でもお前は気をつけろよ?お前みたいな死神じゃない霊体は、たまに見える時があるんだ。……特に、あーいう死ぬ間際の人間にはな…」
……何をしてやれた…?
灰原………お前が死んだ後…………俺は、なにもやる気が出なかった…。
みんなに犯罪者と言われ、苦しんできたお前を…
結局救うことはできなかった自分が…
憎くて憎くてしょうがなかった……。
死神の仕事の事を聞いたとき、今までの自分を……
俺が憎いと思っていた今までの自分を帰られる…そう思ったんだ。
でも……、
またこの目の前の状況を見過ごすようなことがあれば…、
絶対に―――――――、
変わる事なんてできないんだ!
*続く*
―後書き―
こんにちは、終わらない鎮魂歌を歌おう
の続きを書いてみました。
…えーと…ちなみに510号とは死神少年の事です。
「…って言うか死んでたらコナンシリーズここで終わってるだろ」
これかいてる時、兄にこんな事を…(泣)
一応感動物作ってんだから…くちだしすんな!
って感じです。
さて、無駄話しはそろそろ止めにして…
続き書こうと思います(早っ!)
それでは。
―灰原藍より―
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