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―――遠い遠い過去の海。
暗く優しい液体は、私の身体に余すところ無く絡み付き、決して私を一人にはしない。
細く長い道の向こう側は光り輝いて、私を酔わせ誘惑する。
けれど私は知っていた。
向こう側には何も無いことを。
なのに、どうして。
この海さえ、これ以上私を受け入れてはくれないのか。
記憶を辿って。
私は胎児。
悲しみの果てに棄てられた。
無力でちっぽけな、胎児。
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